マーケティング Diary

インタービスタ 上野啓子のブログです

「ふつうのおんなの子のちから」中村桂子著(集英社刊)を読みました

2018-12-20 10.42.10

年の終わりに、とてもいい本に出会えました。
JT生命誌研究館館長の中村桂子さんが書かれた、とてもわかりやすくて共感できる本です。
「ふつうのおんなの子のちから」は、年齢問わず、そして男性にもあるといい力です。
本を読むと、その力とは競争、権力闘争、拡大志向、果ては戦争につながる武力強化につながる力ではなく、「身近な暮らしの中から自分自分の言葉で考えて納得して暮らす、そして日々の暮らしと日々の幸せを感じることのできる力」の比喩ということがわかります。
この本がユニークなのは、「生命誌」という新しい知の体系を構築した著者が数々の童話に登場する女の子達の言葉から「ふつうのおんなの子の力」を説明している点です。
「あしながおじさんのジューディ」「長くつ下のピッピ」「若草物語のジョー」そして「虫めづる姫君」などなど。

特に、”あしながおじさん”に書いたジューディのこの手紙は、心にグサッと刺さりました。
抜粋させていただきます(45ぺーじより抜粋)
「・・・たいがいの人たちは、ほんとうの生活をしていません。彼らはただ競争しているのです。地平線から遥かに遠い、ある目的地(ゴール)へいきつこうと一生けんめいになっているのです。そして一気にそこへ行こうとして、息せき切ってあえぐものですから、現にじぶんたちが歩いている、その途中の美しい、のどかな、いなかの眺めも目に入らないのです。そしてやっとついたころには、もうよぼよぼに老いぼれてしまって、へとへとになってしまってるんです。ですから、目的地へついても着かなくても、結果になんの違いもありません。私は、人生の大作家になれなくっても、人生の路傍に座って、小さな幸福をたくさん積みあげることにきめました。・・・」
いいですよね~。

「生命誌」という新しい知の体系を築かれた中村桂子さん。人間も自然にある生き物の一つ。だから多様性の中にあって人間だけが上から目線で自然を管理するのではなく、多様性を楽しむ「中から目線」で生きることが大事と説いておられます。地球を人間のエゴで利用し尽くしてはいけないと私は理解しました。
1936年生まれの著者は、1945年の終戦時は9歳。東京の家は空襲で焼けてしまったそうです。尋常ではない戦争がなぜ起こるのか。今も地球上で戦争は続いている。そして、武器拡大が今も進んでいる。戦争阻止のためには「ふつうのおんなの子の力」で考え続けることをしてほしいというのが著者のメッセージと私は受け止めました。

もともと、等身大で肌感覚でわかる仕事がいいなと思っていた私は、普通の人達の生活や暮らしの考え方を聞けるインタビューにはまりました。マーケティングといっても、あくまで企業目線ではなく、消費者(生活者)視点が面白く仕事を続けてきました。
ともすると企業の巨大な力に飲み込まれそうになることもありますが(笑)、2019年は、あらためて消費者(生活者)視点にたったマーケティングを意識したいと思っています。

Written by intervistatokyo

2018/12/25 @  

カテゴリー: Books